神々の骨〜変化と普遍をパラレルに表現できる時空の旅人たちの第3章〜

                                             富澤えいち/音楽ライター

Triniteの第3章が幕を開ける。このTriniteの世界観を創出している“作曲家”shezoo の脳内は、大きなテーマから各曲へと枝分かれしていくのではなく、ますますエピソードが ランダムに発生している状態が加速しているようだ。それは、古くは「平家物語」にも用い られているカットバックや、映画では並行モンタージュと呼ばれるような技法に似ている。

一方でそれは、メンバーとして参加する壷井彰久(vl)、小森慶子(cl)、小林武文(per)た ちが、ゼロからの構築を可能にするインプロヴィゼーションに注力できる環境を醸成する強 力な素因にもなっている。

それ故にTriniteの音楽は、組曲であるにもかかわらず全体をまとめるストーリー性や 曲ごとの関係性が薄く感じられ、それぞれがバラバラな風景や感傷を描いているように見え るかもしれない。しかし、それらがバラバラではなく、パラレルな世界を表現しているとし たらどうだろう。“あの日”の直前で止まったままの世界、変わってしまった世界、そして 変わらずに続いていたはずの世界……。

始まりと終わりがある“縦軸”ではなく、“平行する横軸”という視点でTriniteの音楽と 向き合うと、そこにはまた新たな世界が見えてくるはずだ。